伊根町 伊根浦 舟屋の里

 走って走って京都府伊根町へ。
 まず訪れた道の駅ではぶりしゃぶが食べれるようだが まだ昼飯と言う時間でもない。

 観光案内所でここの名物「舟屋」を見学できると言うのでまずはそこへ。
 一回に付き500円。よくしゃべるおばぁちゃんが自宅の舟屋を案内してくれます。

 舟屋は実際生活の場となる母屋とは道を挟んで向かいにあり、大体においてそうやって対になっている物らしい。


 おじいさんは漁に出ていて船は無い。
 海は本当に穏やかで、舟屋の構造がこの凪が全く普通の物である事を物語っている。


 とって来たサザエを海草と一緒に網に入れて沈めておくと身が痩せず ずっと美味しいのだと言う。
 話を聞いているとここの海の豊かさが良く分かり羨ましくなってしまう。
カメノテ?あぁ、あれ食べるところもあるらしいねぇ、食べんよぉまさか」

 こうやって実際に生活の場として使われている舟屋を見せてくれる人は少ないらしく、棚には誰だか芸能人のサインが飾ってある。
 海際で周りの舟屋の景色を眺めていたら 顔を出した隣のおばちゃんが不機嫌な顔ですぐ引っ込んだ。
 別にこの人達は観光で生活をしているのではない。多くの人が日常生活の場を見物に来ると言うのは嫌な人も多いだろう。

 ぶらり歩いてみると

 各家に標準装備されているかのようなサスペンション付き手押し車。

 通り沿いに気圧計が設置されているのが漁師町の生活を物語る。

 ここの酒蔵さんに立ち寄ると、屋久島から来たと言う事に物凄く反応してくれて相当な長話となる。
 ここの女杜氏のもとに兵庫の酒蔵で働いていたこの旦那さんがとついで来たのだそうで、話の節々に酒とこの町に対する愛情が溢れてくる。
 別に基本は接客業じゃない筈なのに、自分より接客業に向いてそうな人です。お越しの際は是非お立ち寄りを。
 もちろんお酒も絶品おいしいので二本程買ってゆく。


 このご主人にオススメの食事処を聞くとどこを否定する事も無く色々教えてくれた{この説明のしかたは見習わねば}中、「地元の人が良く行くのは」と云う

 「なぎさ鮨」へ。

 店内に入ると少し薄暗く、カウンターの目の前にアンコウが吊るし切りにしっぱなしてある。
 何やら怖い感じのおっちゃんから出されたメニューは破れた一枚の伸し板{と言うべき?}がセロテープで補修されている。
 定食各2500円、にぎり・海鮮丼は吸い物付きで2100円。
 やってしまったか!?
 「ごまんなさい ちょっと」
 と言って店を出ようか心を揺らしながら

 にぎり 吸い物付きと

 寿し定食を頼むとこれが旨い!!
 他の観光客との会話を聞いていると ここのご主人一見無愛想なようで話し始めるとすごい愛嬌よく冗談を飛ばす。
 どうやらここの名物となっている寒ブリは今水揚げが無いのだそうで、
 「他のどっかから持ってきてまでうちは出さんよ」
 ナルホド。至極まじめに美味しい物を追求しているのだ。値段分の価値が充分にある。ここは行って良かった。


 ↑店内の写真に写ってるおばちゃん、混み合ってきたので呼ばれて手伝いに来たのだけど 話していると「うちの舟屋も見にきなさい。二階も見せてあげるから」と言われて見に行く事に。

 まずすごく綺麗に片付けられた二階を雨戸を開けて見せてくれる。

 一階。相当昔に船はもう乗らなくなったので船を出し入れする構造は潰されていて、純正付属部品の様な手押し車がやはりある。
 母屋の方もご自慢のようで言われるままに上がらせて貰うと

 ナルホドすごく立派で掃除が行き届いているが、おばぁちゃんはこの家に一人暮らし。
 辛気臭くならないように話してくれるのだけど ご主人に先立たれ、息子は遠くに行って帰ってこない。
 近所のおばぁちゃんもやってきて掘りごたつでそんな話を聞いていると嫁 半泣きに。
 なんだか結局このおばぁちゃんの家で2時間位過ごしておいとまする。

 土蔵の扉に張られたお札たち。昔張られていたお札の日焼け跡も見えるし、恐らく年一回張られていると思うとずっと変わらずにここに流れてきた時間が見える様だ。
 だけどいつまでも変わらない訳ではない。
 伊根を出る車の中二人 なんだか物悲しくなってしまった。