ロープワーク・キキキッキキホン。
「結んでください。」
まぁ皆ひねくれてなければ
これをどうやら とめ結び とか 一重結び とか オーバーハンドノットと呼ぶ様です。
では、
ヒモを、
こう通してみましょう。
「8」っぽいです。これが八の字結び。英語でフィギュア オブ エイトノットと言います。
んでもって今度はロープを
折り返してダブルで、二重にしてから 八の字結びにすると
これをダブル・フィギュアエイトノットとか 二重八の字結び なんて言う様です。が、上に紹介した普通の八の字結びなんてあんまり使いませんからこの二重/ダブル〜の事を主に八の字結びと呼んで、良く使います。
ですが、まずその普通の八の字結びを作ってから下記の様に二重八の字結びにしていく方法も必ず覚えなくてはいけません。
まず、普通の八の字結びを作った そのロープの末端を折り返してきて
ここ。上側のロープを通しやすい広い方ではない、狭い方にまず通して
あとは 隣のロープに添う様に
通しやすい広い隙間を通していってあげれば
綺麗な二重八の字結びができますね。この手順で作る二重八の字結びを英語で フィギュアオブエイト フォロースルー と呼んだりもします。
実質、一番良くこの結びを使うのはハーネスに対してロープを結ぶ場面になるでしょう。
まず、ロープ末端から70cm残した位かな?の所に八の字結びを作り、下から上に向けてビレイループと同じ場所にロープを通します。
で、上記と同じように
フォロースルー。
分かりやすいようにゆるくしてますが、実際無駄にブラブラしない様にもっと引き締めましょう。
そして 結び目から出たロープの余りの部分の事をロープの“末端”と呼ぶ訳ですが、安全の為にはこの末端の長さがロープの太さの10倍位は必要だと言います。だから10CM位、余裕を持っても15CM位余らしときましょうかね。あんまりブラブラ長くても邪魔になりますから。
で、さらにこの結びが解けないように末端を上記のオーバーハンドノットで結んであげると
これを「末端処理」と言ったりします。
この八の字結びに関しては 「末端処理をしようとすまいと{末端の長さが十分ならば}強度は変わらない」と言って しない流派の人たちと、「必ずしないといけない」と言う流派の人達がいるようで、人目を気にするならば別に「やっちゃいけない」と言う流派は無い様なのでやっといた方が無難でしょう。
ただ、結び目が美しくあるような方向に、引き締まった結びで末端処理します。
流派とかと言うややこしい話を出しましたが、ロープの結びと言うのはいろんな国の色んな職種の人達によって作り上げられて来たわけですから 同じ結びでも色んな呼び名が混在する事が良くあります。
次の結びには インクノット/クローブヒッチ/マストノット/マスト結び/クラブヒッチ/巻き結び/徳利結び/かこ結び/船乗り結び/止め釘結び といった呼び名がどうやらあるらしい。
これは流石に統一しようと言う動きがあるようで、クローブ・ヒッチ とマスト・ノットの二種類覚えとけば大体の人と通じ合えるのではないでしょうか。
{脱線話。日本山岳ガイド協会のテキストによると
ヒッチ{Hitch}=物にロープをつなげる事{結び目が無い}
ノット{Knot} =ロープを結んで結び目を作る事
ベンド{Bend} =ロープとロープを結び合わせる事
と言う定義なのだそうで。
ヒッチとノット二つの名がある結びですが、この定義で言うならばヒッチが正しい??
ともあれ。まずロープをこの形にします。
ロープが交差しあう二箇所の重なり方に注目。左右の手でロープを同じ回転方向に捻るとこうなりますね。
で、こう重ねます。ここも重なり注意。
んー源氏パイ?
大阪ガス?なんて知らないか。
で、出来た空間にカラビナをクリップ。
締めてあげると
こうなります。
このロープの交差具合イメージを覚えてください。
ロープが引かれるとロープが自分自身を締め上げて動かなくなる訳です。
これが確実に出来るようになり、形を覚えられたら 次はこの結びを立ち木等に対して出来る様になりましょう。
ロープをまず木に回します。{写真左手のロープを操っています。}
で、もっかい回すと見せかけ
右手にあるロープの下から
こうくぐらせて引き締めあげると
こう。出来上がり。ちょっとややこしいですね。
けどこれは使えます。使います。
で、上記が「マスト・ノット」ならば下記が半マスト・ノット。
別名ハーフ・クローブヒッチ ムンターヒッチ イタリアンヒッチ等々・・
何となく「マストノット」と形が似ているのでそんな呼び名もあるのですが、使用目的は全く違います。
まずロープをひとひねり。
さらにワッカを
引っくり返す。と、そこに現れた二本のロープに
カラビナカチャリ で
出来上がり。
根本的にこれを木に対して結んだりする事は無く、必ずカラビナがロープと組み合わさる結びです。
クローブヒッチのようにロープを固定するのではなく、ロープ同士を擦りあわせて摩擦を産み、ロープの流れをコントロールする為の物です。
使用例として 例えば上記写真のカラビナにぶら下って懸垂下降が出来ます。
{ただ、その時の注意点としては写真と左右逆にカラビナ又は結びが向いている状態で懸垂下降をすると、流れるロープがロックゲートに当ってゲートが開く可能性があるので向きに注意が必要。}
そして、ビレイに使う時等に ロープを引く向きを変えると結び目が下記のように引っくり返ります。
左側のロープが引かれていると
この状態の所、右手を引き始めると
クルリン
パッと向きが変わります。
この結びの向きが変わる動きを妨げない為、この結びには必ずHMS型と言われる大き目のロックゲートつきカラビナを組み合わせます。
と、言ってもHMS型、とカラビナに名乗らせているメーカーとそうで無いメーカーがあるようで、うちにはどうも名乗っているのが無かった。ショック!
けどまぁ
下の小さい奴以外はHMS型って事で良いんじゃ・・ないかなぁ。ちゃんとムンター引っくり返るし 結びが来る所に変な角度付いてないし。
とにかく この結びを覚えておけばエイト環やATCのような器具が無くても懸垂下降やビレイが出来るので必ず覚えたい&一つはHMS型カラビナを持ちたい所なのですが、それさえすればエイト環/ATC等の器具は要らないのか?と言うとそうでもありません。
エイト環等の角の無い滑らかな金属とロープが擦れる分には良いのですが、このムンターヒッチはロープ同士をすり合わせます。ので、頻繁に使っているとロープが痛みます。まして泥付きの/凍りついたロープなんかでやるならば ロープの持ち主の目を見つめながらやってみて下さい。
まぁもっとも、ロープにも寿命と言うのがあって 使わなくても4・5年での買い替えが推奨されています。
その買い替え時期になってもロープがピカピカだと 分かっていても捨てられない物です。だからそんなことは気にせずジャンジャン使ってさっさと買い換えろ と言う意見もあるのですが、それはそのロープの持ち主になってから言うべきですね。
エイト環やらATC、色々あるけど何が良い?と言うのもよく聞かれるのですが自分は まず一つ買うならペツルの「ルベルソキューブ」やブラックダイアモンドの「ATCガイド」をオススメしています。
何故?まぁそれはまたそのうち。
迷わず行けよ 行けば分かるさ と。