蛇之口滝〜破沙岳  鈴川沢登り

 二股川〜割石岳の山行以降行きたいと思っていた蛇之口滝の沢登りに行ってきた。
 今日の相棒は

 この男、A君。



 朝五時 安房しいば前で集合。
 自分はバイク、A君は車で まず平内の破沙岳岳参り登山道入り口へ。
 バイクをデポして6時半頃、尾之間温泉駐車場で身支度をしていると温泉のオバサン登場。
 「あんたら、山でしょう。ここは温泉の為の駐車場だからねぇ・・何時位に戻ってくるの?4時ぐらい?!4時は遅すぎるわ。困る。そんなにかからないから早くあける様にしてね!」
 「はーい」



 途中で雨が降り出して 行くべきか迷いながらも1時間程で蛇之口滝到着。

 増水はしていない。
 雨も止んできたし ハーネス、ヘルメットを装着して7時40分登り始め。
 蛇之口滝左岸にはすでに踏み跡がついていて、どこまでも登っていけそうだったので左にそれて滝の横に出る。

 そこから

 右手の薮に沿って進んで行くと

 さつきが岩の隙間にポチポチ咲いている。

 振り返ると

 割石岳が見える。割石岳からも蛇之口滝が見下ろせていたらしいのだが気付かなかった。残念。また行こう。
 A君の歩く様を見ていてこの映像が頭をよぎる。

 「A君今滑らへんかったか?!」
 「え?さっきからけっこうずっと滑ってますよ ヘヘ」

 この男、漂々と先を行く。
 こっちは乾いた花崗岩にだけはしっかりグリップする靴{キャラバン 柳又アクア - ざるの洗い方}を履いてそれでも恐々としているのに。
 ビビってへっぴり腰になるのよりは良いのかも知れないが・・若さとは、いや己の老いとはこう云う事なのか それとも才能か なんて思っていたら、後で聞いたところ
 「怖いですよぉ、けど怖いって言う程怖い時はもうそれ以上動けなくなるでしょうね。」
 恐怖心とどのラインで渡り合うのが正解なのか、答えが出たときには死んでいたなんて 無いように頼むぜ。


 途中こんな壷があります。

 その上部↑。単体でマトモな場所にあってくれたら良い滑り台になりそうなのに。


 ここらへんのいやらしい所は 他の人の記録でもあるようにロープ出すほどでもないのだけど、{出した所で上手くビレイしにくいし}傾斜が急で{今日は特に濡れていたと言うのもあったかも知れないが}微妙に滑る事。落ちたらまぁ死ぬ。実際そうなった人もいたらしい。
 すごい印象的な場所であるのは確かだが、誰でも来る事をオススメはできない。
 写真だけ見て満足して下さい。




で、

 滝の落ち口到着。
JANO OCHIGUCHI, 30.154562, 130.315169, 643.3, WGS84, 08:16:23 2011/06/03,
 ほぼ地図に描かれている通り。

 今回はGPSに頼らないように、位置確認は地図とコンパスで行い、ただログ付けとバックアップの為GPSをザック内に携行した。

 今回はっきりと沢筋が分かれるポイントは
DEAI, 30.155272, 130.312252, 821.6, WGS84, 09:36:13 2011/06/03,
 ただ、標高900m〜1050m辺りの等高線が比較的なだらかになるあたりも支沢が交錯していて 二つ見た山行記録両方で迷い込んでしまったとあったので 沢に拘らずひたすらコンパスの示す方向を突っ切った。


 蛇之口滝落ち口から上は屋久島らしい巨岩帯。目新しい物は

 シャクナゲくらい。沢に一房、頂上にチョロリ。
 あとは
 
 こんな風景↑で 1000m以上からはコケ・倒木・ヤブの世界。


 そして山頂到着、霧で展望は一切無し。 

 ↑三角点においたGPSが国土地理院地図上にある破沙岳の三角点を見事に指している。
 GPSの精度と地図の精度双方に感心。
 その三角点から西に下りた岩の下に

 祠を確認。
HASA HOKORA, 30.155587, 130.303676, 1230.6, WGS84, 11:06:09 2011/06/03,

 妙法一品・・・?


 少し休んでから一気に下るが、この岳参り道は本当に傾斜がひどい。
 浮いた葉っぱが雨に濡れて、何度も滑りながら下る。膝への負担は大変な物ながら下りながら二人で言い合う。
 「これ・・絶対登りたくねぇなぁ」


 そして、下山。
 今日の行程をグラフにすると

 縦軸は標高、横軸は距離なのだけど
 横軸を時間にすると

 こうなる。標高1200mから400mの800mをたった一時間で降りている。
 下りも早いならば 実は登りも大概に早いのだ。A君が。
 自分が持続可能なペースで歩いていると先を行くA君が見えなくなって行き、思う。
 「・・ロープとガチャモン全部持たせれば良かった・・・」
 次の沢では遠慮無く共同装備も全部持って貰おう。
 彼が引っ張ってくれたお陰で10時間の山行予定が6時間で済み、尾之間温泉に帰って来たのは1時前。
 おばちゃんが言っていた「そんなにかからないから」が本当になった訳だ。



 今回30mロープ・スリング+カラビナ多数、ハーケン数個にハンマー等持って行ったが一切使わなかった。
 蛇之口滝付近ではアクアステルスの方がグリップ良く{当然状況次第}、それ以降の沢歩きはフェルトが有利。
 家に帰って気が付いたが 首筋にヒルが付いていた。
 

 振り返ればリズムの良い山行が出来た。余韻のように残る筋肉疲労がなんだか心地よい。
 A君 また行こうぜっ!