石見銀山
秋吉台を後にしてから車中泊。
日本海側を北上していくとだんだんそこらの家の屋根瓦に特徴的な赤色が目立ち始める。あとになって知るのだが、コレが日本三大瓦{んなモンあるんですねぇ}の一つ・{石州瓦 - Wikipedia}と言うのだそうで、ここらの景観の大きな特徴になっている。
地図の紹介文に惹かれてチラリと有福温泉にも立ち寄ってみたが、ここいら辺の寂れ具合と言うか、情緒は何とも言えない物がある。
つげ義春の漫画みたいな世界。
↑近くの有福小学校。授業中で中に入るわけには行かなかったけど 木造校舎に明治築らしい体育館が素晴らしい。
耐震構造とか心配になってしまうし、過疎化と少子化でこう言う学校が今も姿を消しつつあると言うのは本当に寂しい話。
温泉津{ゆのつ}温泉から沖泊へ。気付かぬ内に世界遺産地域に足を踏み入れていた事になるのだが、ここらへんもちょっとじっくり歩いてみたい雰囲気。この寂れ方はもはや水木しげるの世界。
ただ無料ガイドツアーの開始時間が近かったので急いで進む。
「この先石見銀山」の表示に従って進むと世界遺産センターに行ってしまい、無料ガイドツアー発着の場所に着いたのは本当にギリギリな時間となった。
案内してくださったのは太田文子さんという方。まずは模型でもって全体的な歴史のお話。
雪のうっすら残る中、所々にある神社・寺の由来や遺構に関するお話を聞きつつ進んでゆくと、すでにそこら中で間歩{まぶ}と呼ばれる坑道があちこち口をあけている。
そしてこのガイドツアーのハイライト・龍源寺間歩へ。
入り口で入場券を買って入ります。
岩質はどうやら凝灰岩になるようで その掘りやすさもここが栄えた要因の一つなんでしょう。
いくつもの鉱脈を貫くように間歩は伸びており、この間歩を基点に左右に鉱脈沿いに掘り進んで行く。その鉱脈に沿って掘って行った坑道は狭く、最前線で作業を行っていたのは子供達だったのだそうだ。
その狭い坑道を照らし出すあかりが また新しい植生を作り出そうとしている。
間歩はこの先でキュッと細くなり、我々は明らかに新しい通路で表に出ます。
この無料ツアー、2時間半歩き詰めとなるので「こんなに歩かせやがって」と文句を言う人もいるらしい。
「健脚向け」の縄文杉ツアーに参加しといてそれを言う人もいるのだからまぁそんな人もいるでしょう。
結構歩きます。普段全然歩いてない人はつらいかも。
出たところにズリ石なのか 鉱石が展示してある。
「何種類だったかねぇ、たくさん鉱物が入ってるって専門家の人が言ってたけどねぇ」
この無料ツアー、勿論ガイドさんによって見えてくるものは違うかも知れませんが、大変な価値がある。無料では申し訳ないくらい。
是非行かれた時には御参加を。
近くの古民家を改修したカフェへ。すごく雰囲気良いです。
ハヤシライスと
豆乳ラーメンと
ケーキ。どれも本当に美味しかった。
この周辺の古民家の街並は素晴らしい。
例えば自分の両親が住む彦根も、城下町の雰囲気を作り出そうと電柱を廃してそれっぽい建物にしたりしているが、こっちは圧倒的に本物を感じさせる。
高齢化、過疎化で廃れようとしている一面と、世界遺産に登録された影響か その古さを生かして何か新しい物を作って行こうという、何かキラッと光る躍動感も感じられてもう一度じっくり来て見たいという気にさせられる。
この後世界遺産センターにも行ったのだけどギリギリ時間切れで入場できず。
せっかく来たのに残念、と色んなことをまた解説してくださった職員さんも有難うございました。
ナルホド石見銀山は奥深く、幾ら時間があっても足りないくらいの物であり、後世に残していくべき価値があるからこそ世界遺産になったという事がよくわかった。
いつかまたできるだけの時間を割いて行きたいと思う。