胸を焦がすストーブ

 今、屋久島ナカガワスポーツで

 トランギアの廃盤となったモデル、ストームクッカーSが・・・なんと半額になっている。
 誰か・・さっさと買えよ!


         ・・・・俺が買っちまいそうじゃないか! 



 このトランギアという存在を初めて知ったのは確か中国。
 中国の宿では大体部屋に魔法瓶が置いてあってお湯はただで貰える。無ければ服務員を捕まえて「給我開水!」と云えば良いのだが、この時は給湯器が壊れていたのか はたまたスープでも作る事になったんだったか、同室のドイツ人が自慢げに出してきたのがコレだった。
 おもむろに室内でストーブに火をつける。
 これが自分の持っていたガソリンストーブだったらぐしぐしとポンピングして 煤をモクモクプレヒートの後「ズガガガガ」という燃焼音が始まるわけだがこれらが殆ど無い。
 ほうこれは!。
 「燃料は何?そこらで手に入るのか?」
 「アルコールだよ。ケミストに行けば売ってるから、まずどこの国でも手に入る」
 ナルホド・・・マルチフューエルのガソリンストーブは灯油・白ガス・赤ガス・軽油・ジェット燃料と色々使えるような事を云っていて、実際僻地で使う可能性があるのは自動車燃料か家庭ストーブ向けの灯油かになる。
 実際薬局でアルコールを求めた経験は無いが ガソリンが手に入るほど文明の行き届いた所ならばアルコールも必要充分入手可能なのかも知れない。
 それにこのクリーンさと静かさは、こう云う室内調理の可能性があるバックパッカーにはうってつけなのではなかろうか?
 例えば「コンクリート造り・鉄パイプベッドの様な殺伐とした宿で氷点下5度、殆どの店が閉まる時間でしかも宿の近くに飲食店は無い」みたいな時、暖房の意味でもこのストーブはきっとうれしい。ただ、少し嵩張るが。



 思えばあの時から気になっていた。
 言ってみれば曲がり角でぶつかってドキッとしたすごい好みの女の人と偶然再会、電話番号をわたされたような物か?
 ただ・・・今私には妻がいる。
 MSRのドラゴンフライとリアクター、あと何かバーナーヘッド数個。コッヘル類も夫婦二人それぞれ持っていた分がゴチャゴチャ家に転がっていて、これ以上どういう時に必要だというのだ?大体また一人で海外僻地をぶらつく事なんて、きっと無いだろ?
 そもそも使わない物を置く場所なんて、うちに無い。



 いやいやまてまて、考えてみろ。このストームクッカー自体初めての一台とかで買うものか?
 例えば山岳部とかで最初

こんなのを買って、冬山に行くとなったらよし、

こんなのを買って 社会人になったら楽なアウトドアが良いね、と車キャンプの為

こんなのを買って、あぁ子供もボチボチ大きくなってきた、大人の愉しみの登山をしよう、という段階で手を出す道楽品じゃぁないのか?
 そう、これにはただ「湯を沸かす」という目的まっしぐらなのではなく、その湯を沸かすという行為を楽しみ いや愉しみたい、そのための道具なのだ。
 そうだ、そうなのだ!一段上の豊かな人生を生きるのだ!
 そう、そういえば

 コレも欲しい!!!





・・・・キリが無いんだよっ!