初めてのストーブ

 ストーブ熱ついでに思い出話なぞ。


 中学生の頃は「野外活動部」に属していたが、大した事をした記憶は無く、特にアウトドアマンらしい事始めは 二十歳の時のオーストラリアでのバイク旅になる。
 何かの本を読んでコレやりたい!と思い立ったは良いが キャンプツーリングと言う物をしたことが無かった。
 どこでバイクを買えば、どんな装備を揃えれば良いのかとか何も調べもせずとりあえずワーキングホリデービザを取ってシドニーで英語学校に通いはじめた。
 そんな頃、どういう経緯だったか日本人のバイク乗りが集まる宿を知り、そこで「自分もバイク旅がしたい」と一言言えばあれよあれよと言う間に旅支度が整って行く。
 旅を終えたライダーからバイクを買えばあとは 皆がアレコレ色んな物を気前良くくれた。
 ヘルメット、サイドバッグ、工具類、ウエア、テントに寝袋と全てが揃った上、タイヤ交換等のバイクメンテナンスのすべも教わった。
 彼らは元々日本でバイクツーリングにのめり込み、オーストラリアの赤い大地に憧れて会社をやめ、情報収集・計画立てをしてヘルメットを小脇にオフロードブーツで飛行機のタラップを降りてきたような人達で、たまたま彼らの帰国時期と自分が旅準備をする時期が重なった訳だ。
 今思えば甘やかされ過ぎなほどにラッキーで、お陰で自分には「お下がりライダー」の異名すらつくほどだった。
 出発時期か、出発都市が違っていたら滞在期間も旅の内容もまた変わった物になっていただろう{んなもん当然だけど}。


 そんな装備の中にあったのがこのストーブ、

 Coleman unleaded 440
 {個人のホームページから写真無断拝借致しました。すんません。}


 バイク旅でストーブに求められる機能として 燃料をバイクと共用出来ると云う事がある。
Unleaded、と銘打っている割には「非常時のみ可能」と云う逃げ文句が入るが、このストーブも充分可能。アメリカのメーカーらしく{性能を大きく左右する}ジェネレーターと云う部品にあたりハズレがあるが、あたりを引けば素晴らしい性能を発揮する。
 {名機PEAK1の兄弟なのだから当然か。「足など要らない」のはジオングと同じ}
 ガソリンなだけに強火もイケるしぼちぼちトロ火でも安定した{目は離せないけど}。
 キャブレターのドレンのホースから直接燃料を入れれば丁度じょうごも要らなくなるので本当にバイク旅には相性が良いと思う。
 ただ、その作業をロウソクランタンで照らしながらやって、目の前を火の玉が走ってこのストーブに引火、あせって蹴り飛ばした先に敷いてたブルーシートを燃やすと言う大馬鹿をした事がある。
 自分は元々バカだにせよ、いつでも人が利口で居続けられると限らない。ガソリンの危険性を教えてくれたストーブでもあった。


 タスマニア岩牡蠣を直火焼きして塩水をぶっかけ、旅を終えて久し振りに見るとえらいサビが沸いていた。
 そのまままた沖縄バイク旅でガソリン{赤ガス}ばかりを燃料に使用していると流石に火の出る部分周辺が燃え尽きてきて 気持ち良いほどに潰れてしまった。
 オーストラリアの砂埃でポンプ部分から燃料が漏れるようにもなっていたし、完全に「使い切った」と言える。
 それだけに思いでも多く、何処かの古道具屋で状態の良いのが安く売っていたりしたら そっと手を繋ぐように 買って帰らない自信が無い・・・・