結婚お披露目会

 小学2年位の頃だったと思うのだけど図工の時間に描いた絵が何かに入選して、どこだったかに飾られているのを両親と祖母とで見に行った事がある。
 その絵の中 自分は砂場で一人両手を大きく広げていて、その砂場の周りを鶏が歩いていると言う絵だった。
 入選した事を褒められて、そしてその絵が一体何を描いているのか、どんな状況なのかを問われて説明に困ったのを覚えている。

 誰かと一緒に遊ぶと言うのが苦手で、人の来ない時間帯に一人砂場で遊んでいた。
 飼育係の上級生が運動させる時間だったのかそこに鶏を放つ。
 突っつかれないか怖かった。“いや怖くなんかない”と云う虚勢が自分の両手を砂場一杯に大きく広げさせた。


 思ってみれば自分はそのまま年をとり、その砂場が砂漠に、荒野に、何処かの山にと姿を変えた。
 この島にやってきた頃、まだまだ自分は人との関わり方が分からない、飼いならされた事のない動物の様だったと思う。

 今 妻と呼ぶことになった彼女との会話で覚えている中一番最初の言葉は、彼女が自分の目を見て「目ぇ綺麗な色してんなぁ」と言ったこと。
 目をストレートに見られてそれはドキッと言うよりギクッとした。何かそっけない事を答えてその場から逃げた。
 その時のせいと言うわけではないが、ずっと彼女とは何か話しても二言目でかみ合わなくて、友達と言う距離にも至らなかった。 
 それが結婚。
 自分で云うのも変な話なのだけど、この変化は成長と呼んで良いと思う。周りの色んな人々が自分を育ててくれている。

 この会に来て作り上げてくれた、自分を育てて下さった皆様と彼女を育てて下さった皆様。これからは二人一緒に育ちます。
 これまでと、これからに。ありがとうございます。