NIKON F

 最近カメラ関連の記事が多いのは、まぁ父が死んだもんで、そのカメラが手元に転がって来た、要らないカメラは手放すけど思い出も込めて何らかの記録を記しておきたい、とまぁそういう話。


 で、これですよ。
 

 NIKON F。

 オヤジホイホイ。

 初めてこのカメラを手に入れた喜びを反芻したかったのだろう、うちにはこのカメラが3台はあった筈だ。
 

 知らない人の為に一応書くと、これ、歴史的なカメラなんです。

 ざっくり言えば「ライカが一番エェ!」とされたカメラの世界に殴り込んでカメラの世界の主流をかっさらってきた、もうカメラと云うより日本の工業製品の金字塔。弱点を全部潰して性能を引き上げた後継機が出た後まで15年も製造され続けた、そんなカメラ。
 団塊の世代には思い入れを持っている人も相当にいるようで、この時に得た顧客層をニコンは手放せなかった。{と言うと意地悪い表現だろうか?}
 未だにニコンデジタル一眼レフもこれと基本的に同じレンズマウント{交換レンズとボディの接続方式}を採用している。し、この当時のレンズをそのまま使えるデジタルカメラ、このカメラを模したオモチャまでいまだに販売している。

[rakuten:nikondirect:10001982:detail]
 

 フィルムを巻き上げて、露出計を付けていたらそれに合わせて正確な露出が得られ、シャッターを切ってすぐ次に備えられる。フツー。当然の事。今では。
 視野率100%{ファインダーで見たそのままの範囲がフィルムに写る}と、言っても普通に現像に出してプリントして貰ったらその四隅が切られてしまう。
 自動露出にピントも自動が普通の時代に育った自分は「んな重いカメラの何がエエねん」と思って 親父にもそう言った。
 「重いから手ブレしづらいんや」
 {石でも持っとけ}と思った。


 まぁ、そんな風に崇められてたカメラと云う事もあり、重いしそうそう借りた訳ではないが使った記憶はある。中学2年くらいだ。
 「お前もカメラ趣味にしたらええやないか」
 と言われ、これで裏の溜池に来た鳥なんか撮っていたら 使いさしのフィルム一本分でその息子の趣味への投資が終了したのだった。


 それでも思い出深い。
 親父のカメラバッグを開ければ レンズをはじめ交換部品が色々揃っていて「合体ロボ」の様に遊べた。何よりただバシャリバシャリと空シャッターを切るのが楽しかった。そしてそれは今触っても変わらない。
 露出計すらついていないこのカメラに残された価値は、今となってはそこだけにあるのだろう。


 親父がコレクション的に使わずしまい込んでた皮ケース付きの方をマップカメラの買い取りに出したら査定が1000円だった。 
 おい、親父よ。上記のオモチャより安いわけだ。
 こう云う物を棺桶に入れるべきだったのか、と こっちの都合で思うけど、本人としてはどーでも良いだろうな、とも思う。
  
 
 手が空いて来たら、綺麗な方だけヤフオクに出そうと思っている。