近所で精霊流しをやっていると言うので見に行ってみた。

 バシッと写真でも撮ったろかい と思って行ったらもう見ごろ{?}を過ぎていた様だった。
 この時期は例年忙しく、こんな行事をやっている事自体良く知らなかったのだけど、想像よりかなり多い人達が集まって 流れて行く灯篭を見守っていた。

 初盆の人の船は大きくて、それ以降のは小さいのだそう。

 二十歳そこそこの女性が来て、流れる灯篭に話しかける。
 「おばぁちゃん、来たよ」

 そこに入り込めないと言うか、傍観者にしかなれない自分を見つける。
 この島で灯篭に乗せて送るような親類が一人も居ない。


 そもそも、祖父母の代で父方も母方も元の出身地を離れているお陰で どちらのお墓も自分より若い。
 そこに墓を移すまではちょっと盆だから、と毎年お参りに行けるほど墓が近くはなかった+そこに親しい親戚が居なかったせいだろうか、盆の風習が親の世代で完全に消えていた。だから盆とは一体何なのか、自分は身をもって体験した事が無い。盆踊りぐらいか。{ん?神粼家は神道なのって関係あんのかな?}
 

 人に出身地を聞かれると、大阪の吹田市、と答えてはいるが、そろそろ吹田よりも屋久島で過ごした時間の方が長くなる。
 吹田にあるあのお墓、どうすんのかな とかちらっと頭をかすめるが そのまま暗闇に消えてゆく。
 自分の親も骨になってから屋久島に連れて来られても迷惑だろう。息子達は俺か嫁が死ぬまでは灯篭を流す事も無いだろう。てかその時息子らも屋久島に居るのかな?
 とりあえず自分が生きている間は他人事の行事なんだよな そんなぐねぐねとした考えが 灯篭と一緒に流れて行きましたとさ。