ストライクアラート

 例えばある晴れた日の縄文杉コースなんかで体中バッチリ装備で固めた人が、腰ベルトに皮ケース入りのビクトリノックス、ザックの右ショルダーベルトのD環にGPSを、左ショルダーベルトにはこのストライクアラートを誇らしげにぶらさげているのとすれ違い 
 「あぁ、アホなんだなぁ」
 なんて思ってしまう。
 そんな自分が何だかんだと同じ装備を揃えていると言うのはつまり あぁ、自分もアホなんだなぁ、という事が解る。
{アマゾンでも売ってるんだねぇ〜}

 
 言い訳ではないけど、ネット販売の登山用品店が時々クローズドでオークションをやっていて、ギリギリ落ちなさそうな額で入札したら落札してしまった。まぁもちろん欲しい気持ちもあって入札したのだが、届いてみるとこの安物臭くインチキ臭いこのピコピコおもちゃにあの額を払ったか・・・と愕然とする。定価一万二千円はちょっとないだろう。
 最近子供のガチャガチャが高くなっているらしいが500円のカプセルに入っていたら感動、1000円なら納得、といった質感の商品だ。


 悪天での使用が前提だろうにボディーに防水性は無く、少し持ち歩いていると背面に装備ざれたクリップの蝶番がすぐに抜けてどこかに行ってしまい、持ち運びにくくなった後行方知れず〜〜〜の のちに{ナイフ考ーGerber Paraframe I - ざるの洗い方}このナイフと共に発掘された。

 
 しかし改めて見てみると外装プラスチックは安物臭くもそこそこ丈夫っぽくもあるし、何より小さいというのは美徳だ。
 電子機器なんかの影響もある程度受ける筈なのだが 面白い事に機械の反応は意外と正確。
 わざわざ携帯を近づけたりのテストをまだしていないが、本当の雷雲以外に反応しているらしき所を見た事が無いし、「今は絶対反応するだろう」と思う時はまず納得行く反応を示している。

 ↑この時は丁度梅雨前線と低気圧が上空で愛し合っていた。家の中でもちゃんと測定できている訳だ。


 で、問題としては「この機械が反応したからどーすんだ?」と云う事。
 見た目そこまでの悪天候でも無いと言うのにこの機械が反応しているからと ガイドが登山を中止にして クレームが出た事が実際あったと聞いた。
 自分も何度か山に持って行って見ているが、青空が覗いていようとけっこうすぐに表示が最高レベルに達してしまう。
 そりゃぁ目の前に雷が落ちてからやっと反応し始めるような機械ならそれも要らないが、もうちょっと切迫したリスクを知らせてくれたらまだ使えるに と言うのは正直な感想。
 しかしこれも雷と言う奴の本質なのだろう。大した事無く見える雷雲でもわからないぞ、と。


 そんなもんで、この機械の反応がツアー中止の決定的要因にはなり辛いが、この機械が反応しているのにツアーを決行して落雷事故に遭えば過失を問われる要因になり得そうだと思うと ガイドとしては持たない方がマシに思える。
 だから 警報直前の悪天下に 300円の雨合羽を着て明らかに普段運動もしてないのに10時間の登山を朝から諦め切れない様な人に「ホラ、警報機もこんなに鳴ってるでしょ」と見せる為、車にこれを積んでいた事があるが、そんな時に限ってこの機械は何も反応を示さなかったりする。{そして登山口まで来てビービー云い始める}
 そういった意味、やっぱりこの機械は自分達にとって実用的とは言い難い。