やっくりん見学

 さて。
 屋久島ファン、または住民の皆様。
 「やっくりん」て知ってますか?


 アレとか頭に浮かびました?

 某資料館のマスコット。
 明らかに胴体は人為的に輪切りにされた木{恐らく屋久杉}で出来ている、つまり自然破壊そのものを象徴しているのでしょうがコレではありません。
 {このキャラクターの名は・・・○林 と変換されたけど別に愛林さんを皮肉るつもりもありません。}


 やっくりんとは小瀬田の役所の裏の下水処理施設、「屋久島クリーンセンター」の愛称なのです!
 そもそもあそこに下水処理施設がある という事も最近まで知らなかったのですがそう呼んで下さい。
 さておき今回「ガイド連絡協議会」の定例会と云うことで見学に行って来ました。
 

 早速現場に行ってその場でざっと説明を受けるのかと思いきや まず通して下さったのはこんな部屋。
 しっかりパンフレットもあって「まずはご覧下さい」

ビデオも。しかも子供向けと大人向けの二種類がありました。
 子供らの社会見学もちょくちょく来ているのでしょう。
「かつて 人二万・猿二万・鹿二万と言われた頃の屋久島は人と自然が調和した暮らしを営んでいました。
 しかし平成五年、世界遺産に登録され増加する観光客。自然環境への負荷が増大します。観光はこれからの屋久島の経済の基幹を担う産業ですから育ててゆかないといけません。
 そこで屋久島の豊かな自然を守ると云う使命を受けて屋久島クリーンセンター{やっくりん}は誕生したのです!」
 ・・ここにも自然破壊を観光客のせいにしたい人のプロパガンダが・・・
 まぁ気にせずパンフレットに今改めて目を通す。


  施設概要


  名称     屋久島クリーンセンター
  愛称     やっくりん
  所在地    鹿児島県熊毛郡上屋久町小瀬田469-45
  敷地面積   5650m2
  総床面積   管理棟・約700m2
           処理棟・約2000m2
  総事業費   18,165千万円
  工期     1997年8月〜1999年3月
  処理能力   26kl/日  {46kl/日へと去年増設}
  処理方法   膜分離高負荷脱窒素処理方式+高度処理
               {凝集分離+活性炭}

 
      さらさらさら〜
   ん?


 総事業費 18165千万円・・


 じゅうひゃくせんまんいちおくじゅうおくひゃくおく・・・


 千八百十六億五千万円!

 この貧乏な地方にどこから金が?と改めてパンフレット表紙を見ると
 国民年金・厚生年金還元融資施設
 あぁ、そこね。俺達ゃ払えど払えど戻ってこない その金、ここに来てたのね。
{後日訂正・流石にその額はありえないだろう原発でもなし とご指摘を受けました。3桁間違いの1億8千万〜なら安く感じますね??}

 この施設以前には昭和52年3月{てぇと1977年か}に嫌気性消化方式による20kl/日の処理能力の施設ができ、その後20年で老朽化による機能低下、し尿汚泥の持込量が処理能力の限界に来て新しく建て替えられた、との事。
 ・・・で、建て替えて新しくなった施設の処理能力が当初26kl、結局のちに増設していると。
 よくよく読むとツッコミどころ多いな。
 大株歩道入り口のトイレと通じる物を感じる。{2千億円たらずのこの施設はたった20年でダメにはなるまいなぁ}



 が、まぁさておき。
 まず案内して頂いたのはいきなりこの施設の「核」なんだそうな水質分析室。

 ここで生物処理が上手く行っているのかを確認しつつ操作を行ってゆくのだそうで。

 次に中央監視室。手前のモニターには焼却炉内部が映し出されとります。

 UF膜と言うモノで汚泥をろ過する装置。

 コバエがホイホイと言う商品名のハエとり。この施設にハエの湧く隙があるとは思わないが、独特の臭いは多少ある。

 生物処理の後、{硫酸バンド}{アルカリ{?}}と言った薬品による処理を経て活性炭による処理。

 ↑これが使用済みの活性炭。
 先ほどの水質分析室での監視の上で中央監視室からの操作が上手く行かないと この活性炭に負荷がかかり、長持ちしなくなってしまうらしい。

 乾燥、焼却の制御をする部屋。{あの当時よく聞いた“ファジー制御”}右手のガラス窓の向こう側はバキュームカーが来る搬入口。

 脱水、乾燥、そして

 焼却炉。これらの処理により

 この汚水がどんどん浄化され

 ここまで綺麗になる。
 あえては飲まないが 飲んでも問題の無いレベルなのだそうで。この処理水は落川に放流される。
 どう云う基準での話かは知らないが、水質検査で放流口の上流よりむしろ下流の方がキレイと出る事もあるのだとか。


 最初に見せて頂いたビデオでは「ゼロエミッションを目指して」と言っていたが 屋久島・口永良部島1万4千人分の糞尿が宙に消えるようなマジックは当然無く、当初リサイクルに出す計画であった汚泥も重油で燃やし、その燃え残りはどこかに埋め立てられる。
 けどまぁ そんなモンでしょ。「ゼロエミッション」なんて行政に頼らない個人単位で目指すしかない。
 想像していたよりもよっぽど立派で、素人目にはこれ以上が想像出来ないくらいの施設。 
 今まで見えていなかった部分を知る事ができて、一つ安心が得られた。
 見学者に対する準備もしっかり出来ているし 是非 皆様も見に行って頂きたい。


 “やっくりん”の皆様、どうも有り難うございました!