笑顔

 昔、オーストラリアで英語学校に通っていた時、受付の女の子が自分をよく気に掛けてくれていて、毎朝
 「Hi!How are you Makio? 」
 と話しかけてくれた。
 まだまだ英語のノリになれていなかった自分は毎回考えた。
 {さて、Howなんだろうかam I? 良くも無く悪くも無く、ボチボチ普通・・・ならこうだろう}と、
 「うーん・・Not bad...And You?」
 と答えた。
 それが3回目ぐらいになると
 「You are always not bad...Say FINE!」
 と言われ、たしかこう答えたと思う。
 「But..I`m not that "happy man". I may be sometimes fine, sometimes bad, and often middle, like now.」
 彼女はため息と共に
 「You still have to say fine..OK?」
 そんな事を言ったかと思う。

 社交辞令みたいな、上手に嘘を使うことが受け入れられなかった頃。その後もなかなか“Fine”と言う言葉がすんなり出るに至らなかった。



 笑顔に魅力のある人は本当に素敵だと今は思う。
 しかし多感な時期、自分の笑顔が嫌いだった。
 鏡や写真を見て ニコッだなんてな爽やかな擬音を感じなかった。
 ここの眉毛の辺りがもっと盛り上がってクリント・イーストウッドばりの奥目にならないかな、と鏡とカメラの前、顔をしかめていた。
 憧れる対象も悪かった。イーストウッドの他にはエアロスミスジョー・ペリーとか映画「ラスト・オブ・モヒカン」のウンカスとか、ことごとく表情硬い。
 そのせいもあるのか、自分は笑顔を作るのが凄く苦手なのだと最近気付いた。

 春先 笑顔の写真が必要になって撮ったのが↑コレである。
 硬い。頑張って作ってる。

 で、何とかせねば、と目に付いたのが

 あんこ。
 採用した写真は↓コレ。

 やっと自然に笑えたか。


 人の笑顔に好感を感じるのはやはり、それが「あなたに会えてうれしい」事を示しているから安心するのだろう。
 「How are you?」の問いには 暗に..feeling to see me?が続いている。
 だからきっと答えはFine なりGood、 Excellent辺りがやっぱり礼儀。
 そんな言葉に値する笑顔で人を迎えたいのだが、作り笑いが上手くない事はもう分かった。
 だからいっそもっと人を好きになれるよう、自分を変えていかなくちゃ。
 てのが目下の目標、と言った所でしょうか。