写真集「屋久島」大沢成二

 ページをめくるとなにやら上質なクラシック音楽が頭の中に流れてきます。

 あと何十回かページをめくって、また何ヶ月・何年かしてまためくって、その度に良さが多く見えてきそうなのでまだ感想は書きたくないのだけれど とりあえず手元に届きました。
 有難うございます。
 おめでとうございます。


 本当の事を言うと少し、ねたましい気持ちがある。
 この島で見られる情景・事象を自分より深く沢山知る人間なんて 本当は数え切れずいるのだけれど、この島はまるで「自分しか知らない」かのような錯覚を与えてくれる。
 丁度売れっ子ホステスの様な魔性の色香で、「あなただけよ」と耳元で囁いてくれていたのに、自分も見た事が無い様な恍惚とした表情、淫らに肌蹴た姿の写真達が世に出回るのだ。
 本当に女だったらこの写真家はとうに殺されている。
 だけどこの人がここ数年間誰より熱心にこの女を口説いていた事を知っている。 
 自分達が抜け駆けたつもりで夜這いを掛けた 冬の鹿の沢小屋で鉢合わせたのがこの人を最初に認識した時だった。
 自分達と違って いく晩もかけてその白肌の枕元で土下座し続けていた。
 個人的な性癖を見せないプロらしい写真達、その一枚一枚に情熱、執念が溢れている。
 だからそこにねたむ隙など一切無い。


 一ガイドとして、この写真集が沢山世に出回ることを願います。
 しかしこの本10冊売れてやっと1万6千円て・・・写真家と言う職業の仕組みが知りたい所です。