My hometown
今これまでの人生の中で一番長く暮らした町にいる。
大阪府吹田市。
小学三年から二十歳までと云うといわゆる「多感な時期」な訳で、だから出身を訊かれたら此処を答えるのだろう。
此処に引っ越してきた頃、大人達は
「たったの10年前まではここらも狸なんかが走り回るような山ばっかだった」
なんて言っていたけど、その後の変化のスピードを知ると今になってそれがリアルに思えてくる。
自分の記憶と比べると あんなにあった竹薮がことごとく消え、代わりのタケノコの如くマンションがニョキニョキ生えた。
あの中では色んなかぐや姫が白蟻の様に、ウジャウジャと生活を営んでいる筈だ。
これだけ分母が増えれば如何に少子化といえど母校・千里新田小学校も生徒数に困らないのではなかろうかなんて思うのだけど、しかし昔より活気づいた感じも何だかしない。
ジャスコの向かいで大きな独立した建物だったミドリ電化はジャスコの3階に入り、それでもなお場所を持て余した感じがある。
もっと大型の競合店がちょっと車で行った所に出来て、ネットで買い物もできるようにもなった。いやそれよりあの頃ってまだまだ景気が良かったのか なんて考える。
お惣菜コーナー。店員さんがお寿司に半額シール貼ってくんないだろうかと動きを目で追う。
こんな時ここでバッタリ同級生に会ったり、なんてする気がしない。
みんな自分と同じようにこの町を出て どこかでそれぞれの人生を歩んでいると想像するのがなぜか自然に思えた。
便利に暮らせる場所だと思う。あの頃はすごい好きな町だと思っていた。
だけど子供をここで育てる気にはならない。
さて。屋久島に帰ろう。